電子マネーを表す勘定科目
今ではSuica、PASMO、Kitaca、TOICA、manaca、ICOCA、PiTaPa、SUGOCA、nimocaなどの全国共通交通系ICカード(以下、Suicaと略します)もだいぶ普及してきました。それ以外にも、EdyやNANACO、WAONなど、チャージして使う形式の電子マネーもやはり普及してきました。
で、これら電子マネーにチャージした時の勘定科目がどうなるのか、考えたいと思います。どういうことかと言いますと、電子マネーにチャージした場合、色々なケースが考えられるからです。
事業目的で利用していない場合
最初の分岐点が、この電子マネーを事業目的で使っているか否かです。もし事業目的で利用していない場合、勘定科目は「事業主貸」です。ただし、事業目的でも私用でも利用している場合、チャージした段階で「事業主貸」で仕訳して、事業目的で利用した時に都度「事業主借」で仕訳する手もあります。
使用目的が決まっている電子マネーの場合
で、事業目的にしか使わない電子マネーの場合です。
まず、地方の交通系ICカードのように、明らかに交通費の支払いにしか使えない場合。この場合、チャージした時点で「旅費交通費」で仕訳しても問題ないでしょう。
様々な目的で使用できる電子マネーの場合
続いて、SuicaやEdy、NANACO、WAONなどのように、様々な目的で使用できる電子マネーの場合。このケースだと換金性はともかく、現金の代わりに利用できるため、小切手や小為替などの代用通貨に限りなく近い性質なのではないかと思います。ちなみに、簿記のルールでは、代用通貨は「現金」で仕訳けるというルールになっています。なので、勘定科目を「現金」とするでいいと思います。敢えて残高を管理するのであれば、「Suica」「電子マネー」などの勘定科目を作りましょう。この記事では、勘定科目「現金」を使っているという前提で解説します。
現金でチャージした時の仕訳
まずは、現金でチャージしているケースの場合。この場合はチャージした段階では仕訳せず、電子マネーを利用した段階で「現金」として仕訳します。
銀行口座からチャージした時の仕訳
続いて、銀行口座からチャージしているケースの場合。この場合はチャージした際、銀行口座(勘定科目では「普通預金」「当座預金」など)から現金を引き出したのと同じ仕訳をして、電子マネーを利用した段階で「現金」として仕訳します。例えば、普通預金口座から1万円をチャージした場合は、こうです。
借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
現金 | 10,000 | 普通預金 | 10,000 |
クレジットカードでチャージした時の仕訳
最後に、クレジットカードでチャージしているケースの場合。個人事業主が個人で使っているクレジットカードの場合は、チャージした段階で「事業主借」で仕訳すればOKです。
事業目的で使用するクレジットカードの場合は、借金と限りなく近いので、あるべき論でいえば勘定科目「借入金」なのかもしれません。しかしながら、電子マネーへのチャージはショッピング枠を使うので、チャージした段階で「未払金」を計上するでいいでしょう。もし1万円をチャージした場合は、こうです。
借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
現金 | 10,000 | 未払金 | 10,000 |
電子マネーを利用した段階で「現金」として仕訳
します。
で、クレジットカードの利用額が引き落とされた段階で、未払金を相殺すればいいでしょう。例えば、1万円が普通預金口座から引き落とされた場合は、こうです。
借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
未払金 | 10,000 | 普通預金 | 10,000 |
今一しっくり来ないという印象をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、簿記が時代に追い付いていないからこうなっているのは事実だとは思います。
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