NASは、買って電源を入れればすぐ使えるわけではありません。
- HDDの取り付け
- 初期セットアップ(←この記事では、ここを説明)
・・・を行う必要があります。それ故、PC初心者にはハードルが高いという欠点があります。その代わり、好きな容量・好きなHDDを自分で選ぶことができるという利点があります。
「HDDを自分でつけるのはわかるけど、なぜ初期セットアップするの?」
・・・という方もいらっしゃるかもしれません。初期セットアップする理由は、買ったばかりのHDDには何も入っていないからです。
PCにはWindows、iPhoneにはiOSが必要なのと同様、SynologyのNASにはDSM(Synology DiskStation Manager)がないと動けないのです。DSMはHDDに保存する仕組みになっていまして、起動するときはHDDからDSMを読み込んで動くのです。
で、買ったばかりのHDDは空っぽなので、当然DSMは入っていません。なので、最初にDSMをHDDに入れて、最低限必要な設定を行う・・・というわけです。
初期セットアップで何をするのか、大雑把に言うと・・・
- DSMのインストール
- アカウントの設定
- アプリケーションの設定
- HDDの設定
以上、4つです。また、初期セットアップをするには、WindowsかmacOSが動くPCが必要です。
まずは、NASにLANケーブルとACアダプタを接続して、電源スイッチを押します。すると、LEDが青く点灯します。
ここで、PCでWebブラウザ(EdgeやGoogle Chrome、Safariなど)を起動して、アドレスバーにhttp://find.synology.comと入力します。
このWebサイトに接続すると、LANに接続されているNASを探してくれます。もし見つからない場合は、LANケーブルが正しくつながっているか、NASの電源が入っているかを確認します。
NASが見つかった場合は、[ステータス]が[未インストール]になっているNASをクリックして、[接続]をクリックします。
Synology エンドユーザーライセンス合意書(通称:EULA)が表示されます。[私はEULAの条件を読み、これに同意します]をチェックして、[次へ]をクリックします。
ようこそ! 画面が表示されます。[インストール]をクリックします。
DiskStation Managerのインストール画面が表示されます。このまま[次へ]をクリックして、最新のDSMをダウンロードします。
「すべてのデータが削除されます」
・・・と、さも怖そうな画面が表示されますが、よーく考えてみればHDDは空で、データは入っていないわけで。[私はこれらのドライブ上のすべてのデータが削除されることを理解しています]をチェックして、[続行]をクリックします。
データ削除画面が表示されます。ここは、DS223jと入力して、[削除]をクリックします。
すると、DSMをインストールします。インストールには、軽く10分はかかります。NASの電源を落とさずに、このまましばらく待ちます。
DSMのインストールが終わると画面が切り替わり、NASが再起動して、インストールされたDSMを起動します。これも10分はかかるので、NASの電源を落とさずに、このまましばらく待ちます。
ここから、アカウントのセットアップを行います。SynologyのNASで設定するアカウントが2種類。管理者アカウントとSynologyアカウントです。
管理者アカウントというのは、NASを設定するときに表示する、NASのWeb管理画面で入力するユーザ名とパスワードです。Synologyアカウントというのは、Synologyが実施するサービスを利用したり、逆に利用を取り止めるときに入力するユーザ名とパスワードです。
[起動]をクリックします。
重要:この画面で設定した内容を忘れないようにメモしましょう
デバイス名と管理者アカウント、パスワードを指定します。今後、NASの設定を変更するときは、ここで指定した管理者アカウントとパスワードが必要なので、ここで設定した内容を忘れないように気を付けてください。
デバイス名というのは、このNASの名前です。名前は何でも構いません。
「何を設定していいのかわからない」
・・・という方は、NAS01とでも設定しておきましょうか。
管理者アカウントも、何でも構いません。ただし、Adminとか、Administrator、rootなどのように、明らかに管理者アカウントとわかってしまう名前を付けるのは避けた方がいいでしょう。
パスワードも基本的には何でもいいです・・・が、大文字・小文字を混ぜる、どこかに数字を入れる、8文字以上のパスワードを指定する、安直なパスワードを指定しない、といったルールがあります。
デバイス名、管理者アカウント、パスワードを入力して、[次へ]をクリックします。
お使いのSynology NAS用のアップデートのオプションを選択してください、という画面が表示されます。ここは後から変更することができるので、設定を変更せずに[次へ]をクリックします。
Synologyアカウントを作成して活用する画面が表示されます。Synologyアカウントというのは、Synologyが利用するクラウドサービスを利用するためのアカウントで、SynologyのNASのユーザなら無料で利用できます。
[作成]をクリックして、画面の指示に従ってSynologyアカウントを作成します。
どこからでもSynology NASにアクセス可能という画面が表示されます。QuickConnection IDを使用するとインターネットからSynology NASにアクセスできるのですが、その分危険性もあります。ジーン吉本は[スキップ]をクリックしましたが、危険性を理解したうえでインターネット経由でNASを使いたい方は[送信]をクリックします。
ここから、アプリケーションの設定を行います。
その他の便利なツールを探す画面には、デバイスの管理を行ってくれるツールを使うかどうかを聞いてきます。ここは、すべてチェックして(チェック項目は4つあるので気を付けてください)、[送信]をクリックします。
Synology Photosのインストール画面です。後からインストールできるので、[いいえ、結構です]をクリックします。
2要素認証を有効にする画面です。後から設定できるので、[いいえ、結構です]をクリックします。
ここから、HDDの設定を行います。
設定する内容は2つ。ストレージプールの設定と、ボリュームの設定です。
ストレージプールというのは、早い話がHDDの集まりのことです。どのHDDを同じストレージにするかを選んだうえで、どのRAIDを組むかを設定します。(RAIDの説明は後ほど)
ボリュームというのは、HDDの中に作成する区画のことです。Synology NASではパーティションと呼ばずに、ボリュームと呼びます。このボリュームをストレージプールの中に作成して、データの入れ物を作るというわけです。
ストレージプールの設定と、ボリュームの設定を行わないとNASが使えないので、[今すぐ作成]をクリックします。
ストレージプールとボリュームの作成を開始します。[起動]をクリックします。
まずは、ストレージプールを作成します。RAIDタイプの設定がありますが、おススメはSHR(Synology Hybrid RAID)。SHRを選択すると、容量が異なるHDD同士でもRAIDを組むことができます。ただRAIDを組むだけでなく、HDDが故障してもなるべくデータが残るように考えて、RAIDを組んでくれます。
ただ、DS223jの場合はHDDを2台しか搭載できないのでRAID 1、つまり同じデータを2台のHDDに書くしかないです。そうすると、仮にSHRを選んだとしても、データが保護されるのは2台のHDDのうち小さい方のHDDの容量までなのです。
「だったらRAID 1を選んでもいいのではないか」
・・・と思うのですが、ここはSynology推奨のSHRを選択します。
ストレージプールで、同じ仲間にするHDDを選びます。
ジーン吉本は、8TBのHDDを2台取り付けました。なので、両方のドライブのチェックを付けて、[次へ]をクリックします。
次に、ボリュームを作成します。
最初に、ドライブチェック画面が表示されます。[ドライブチェックをスキップする]がチェックされた状態になっていますが、買ったばかりのHDDを取り付けている場合、これはおススメできません。
すでにどこかで使用していたHDDの中身を消して、NASに取り付けた場合、ドライブのチェックが終わった状態になっています。ただし、買ったばかりのHDDの場合、ドライブのチェックを行っていません。
「新品なんだから大丈夫なんじゃないの?」
いえいえ、新品だから危ないのです。HDDには必ず不良セクタと言って、データを書くとエラーになる部分が必ず含まれています。そこで、最初にドライブチェックを行って、不良セクターにデータを書きに行かないようにするのです。
ドライブチェックは数日かかるケースがあるのですが、ドライブチェックを行っている間でも設定を続けることはできるので、[ドライブチェックを実行]を選んで[次へ]をクリックします。
次に、ボリュームの容量の割り当て画面が表示されます。ここでは、[最大]をクリックして、[次へ]をクリックします。
ファイルシステムの選択画面が出てきます。
ファイルシステムとは、ファイルやフォルダ単位でデータを読み書きするための仕組みです。ここは、[Btrfs]を選択して[次へ]をクリックします。
設定の確認画面に、ここまでの設定内容が表示されます。[適用]をクリックすると、
新しく選択されたドライブ上のすべてのデータが消去されます。本当に続行しますか?
・・・と、さも恐ろしいことを聞かれます。考えてみれば、買ったばかりのHDDは空で、そもそもデータは入っていないわけで。ここは、[OK]をクリックします。
以上で、初期セットアップは終了です。ドライブチェックが走りますが、ここはNASの電源を入れたまま、そのまま放置すればOKです。なお、ドライブチェックを行っている間でも、設定の続きを行っても大丈夫です。
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